【出演者紹介】カンタオールのイバン・カルピオ(その2) 父方にはカンテの歴史に名を残すエル・チョコラテが。ファルーコのファミリー、モントージャ一家です。 なので…

【出演者紹介】カンタオールのイバン・カルピオ(その2) 父方にはカンテの歴史に名を残すエル・チョコラテが。ファルーコのファミリー、モントージャ一家です。 なので…


【出演者紹介】カンタオールのイバン・カルピオ(その2)
父方にはカンテの歴史に名を残すエル・チョコラテが。ファルーコのファミリー、モントージャ一家です。
なので幼い頃から彼らのステージに出ていました。
母方はフラメンコのカルピオ家。
ヘレス出身イバンのフラメンコの血は濃厚。

イバン紹介その1でお披露目したビデオですが、
昨日彼が歌ったセマナ・サンタのサエタです。
カトリックの復活祭期間の今週、
街中で教会のパソ(各信徒会が出す聖母マリア像とイエスキリスト像の神輿がそれぞれ40人ほどの男性の肩で担がれ、楽団たちの伴奏を共に公道をゆっくりと歩く行事)を拝んで見るのですが、
神輿が出る多々ある教会の中でも人気トップのセビージャ「ヒターノ教会」のクライマックス、
夜中から半日間、夜明けもずっと歩き続けて、
ようやっと正午に自分の教会に戻って来た「お疲れ様、、、」と、
皆に大喝采の拍手とスペイン国歌を浴び、
最後の最後に歌うサエタがイバン・カルピオ。
これってすごいことです!!!

警備に同行してる防弾チョッキの国家警察もイバンの歌にうるうるしてました。
こんな強面の警察もサエタに涙するんだ、、、と意外な場面にも遭遇。

カンテに精通していない私たち日本人がサエタに深入りできる機会を共有しようと、
今回サエタのレトラ(歌詞)を追究してみました。
私もカンテは歌わない(歌えない)し、そういう血も流れていないし、日本人の中にももっと気の利いた訳ができる方もいらっしゃるかとは思うので、これは単に、
「せっかくガルロチに最高峰のカンタオールたちが来日しても、
なかなか日本人にその良さを伝えられるまでに至らず、なんだかよく分からずに見てるしかない、、、というところから、少しでも、一つでも何か生のカンテから日本人が得られるきっかけになれば、、、」
という身の程知らずを超えて、google自動翻訳よりはマシかと思うので、あえてここに書いてみます。

歌詞はAntonio Ortegaというサエタの達人のもので、イバンが歌うにあたって意識的に多少変えてる部分もあるようですが、オーソドックスにこんな感じです。

CINCO LAGRIMAS TIENE EN TU CARA
QUE SON DE ANGUSTIA Y DOLOR
SI MIS MANOS TE ALCANZARAN TE LAS QUITARÍA YO
Y EN MI PECHO LAS GUARDABA
AY,AY…
LOS GITANOS DE TRIANA TENÍAN GRANDES DUQUELAS
QUE SE ENTERE EL MUNDO ENTETO
QUE DE AHÍ VIENEN TUS PENAS

あなたの顔をつたう5粒の涙
苦難と苦痛のそれを
私の手が届くのなら私が拭い
私の胸に封じるのに
ああ、、、
トリアナのジプシーたちが抱える懊悩(おうのう)
世の人々にも知れ渡れ
そこにあなたの悲しみのわけがあることを

という感じでしょうか。
歌ってる時にはSを発音していないので単数に聞こえますが文法上複数だなとは推測できますし、
装飾で同じ言葉を繰り返したり、実際に歌うときにはもっとそこに味が出させてるのです。

サエタには、シギリージャ系、マルティネテ系、カルセレラ系などあるそうです。
イバンの歌ったそれはシギリージャ系だそうですが、
レマテがマルティネテだそうです。「ああ、、、」から後ろの歌詞の部分。
歌詞を訳していて、キーワード発見!
辞書を探しても出て来ません。
「DUQUELAS」これはロマ語なのでスペイン語の辞書には出てきません。
が、今の時代は便利で、Google で出て来ます。
スペイン語のFatigaにあたる言葉で、心の奥で悩み悶える苦痛みたいなものでしょうか。フラメンコのカンテはこのDUQUELAS を満タンにして歌うのだそうです。
歌詞にフラメンコのキーワードが入ってるのですね。

ちょうど本日、4月8日が国際ロマ族の日、世界のヒターノの日です。
イバンが歌ったヒターノのキリスト像と、その聖母マリアが花びらのシャワーを浴びて行進する姿も写真で載せておきます。イバンと一緒に。
新しい時代、昔ながらのセマナサンタも少しずつ若い世代に交代になるにあたり、
廃れていくのではないかという気がかりな文化の伝統を、この若い世代、イバン・カルピオたちがしっかりと守り抜いていくことでしょう。

今年の復活祭セビージャ「ヒターノ教会」の山車の到着場面だけでも3時間以上の長さのビデオで信徒会が出しています。
長すぎるのでそこからイバンが聖母マリアに歌う部分だけを抜粋したのが「その1」に掲載したビデオですが、(2:49:13から)
その前にキリストの像にも歌ってます。(1:40:35から)。
なんとこちらの歌詞はギターリストのペルラの歌詞だそうです。
3時間全部見てみるのもセビージャの香りが届くかと。ぜひどうぞ。

普段、地元のタブラオで歌うことも多いイバン、
踊りを盛り上げる、そして自分自身も盛り上がる様子が誰よりも強く見られ、
ビジュアル的にも一緒にステージに立つエル・ガジに劣ることなく、かなりのシンパティコ度、その動き(踊ってる?と思うような)カンタオール、
お見逃しなく!

Photo & Text/ Mayumi Shimoyama
Copyright (C)2023 Sonia Johnes All Rights Reserved.

【公演期間】
2023.4/21(金)〜5/8(月)

【出演者】
B.Juana Amaya
B.El Torombo
C.David El Galli
C.Ivan Carpio
G.David Caro

ご予約受付中(4/20まで先行予約割引中!)
WEB:
https://t.livepocket.jp/t/juana-torombo

Email:
garlochilive@gmail.com

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